■工具についてあれこれ
ごく簡単なパーツの組み替え程度なら工具もほとんど必要ありませんが、しかしそれなりに改造していくとなるとそれなりな工具が必要になってきます。
ここではごく基本的なフィギュア改造で使用する工具について、私の私見を交えて紹介していきたいと思います。
ちなみにとりあえずの工具として基本的な工具を紹介しておりますが、これだけの工具があれば当面は改造には困らなかったりします。
もちろん工具は色々揃えればなにかと便利ではありますが。

■カッター/デザインナイフ

パーツの切断や切削加工にカッターは必要不可欠なモノ。
人によっては普通のカッターよりもデザインナイフの方が使い易いというコトもあるかと思いますが、比較的大きなパーツを切断するようなケースもあるので、カッターは最低限用意するべきです。

私の場合は主にNTカッター製のA−300がバランスが良く愛用していますが、よほど持ったときのバランスに問題でもなければどこのカッターを使っても構わないと思います。もっとも今までの経験では100円ショップなどで扱っている安価なカッター類は紙を切る程度ならともかく、模型用としての使用にはカッター自体の強度面に不満が残るモノがほとんどでした。できればちゃんとしたメーカー品、特に刃の周りが金属製のものが壊れにくくてお勧めです。

ただしどんなに安価だろうと高級品だろうとも、刃は消耗品と割り切ってこまめに折って替えること。刃を勿体ないと使い続けていると、切断面が綺麗にならなかったり、また切断力にばらつきが出て、手などを切ってしまうなど、却って本末転倒なことになりかねません。
刃をこまめに替えることについてはデザインナイフも同様です。

■彫刻刀(丸刀大/小)

主にパーツを抉るのに使うので、丸刀の大小があれば充分です。より便利なツールとしてリューターがありますが、ちゃんと使えるAC電原付のモノはそれなりな値段しますし、意外と彫刻刀も作業効率が良いので、最初はこちらから入った方が良いと考えます。またリューターと違って切削中に騒音がしないので、深夜の作業でも大丈夫。

私の持論ではありますが、工具について接着剤や定規などについてはそこそこ使えれば安物でも可ですが、刃物だけはしっかりした高級品を使うべきだと思っています。刃物への投資をケチると作業効率が大幅に落ちるだけではなく、怪我のモノともなりがちです。

彫刻刀も5本入り数百円クラスのモノなどもあるにはありますが、一度使ってみた限りでは、木材ならともかく、PVCなどの軟質樹脂を抉るには刃の食い込みが悪すぎてとても使用に耐えないという結果に終わりました。

今使っているモノは5本で2000円前後程度の中級品で、これなら特に使用上問題はないので消耗品と割り切って使っています。
本当は必要な刃のモノを単品で購入すればより切れ味の良いものが手にはいると思いますが、素人では切れ味が低下した際に研ぎ直すのが難しい為、先の持論とはちょっと矛盾しますがギリギリの妥協点ということで中級品を。

余談になりますが、今までガチャ改造やっていて、カッターにしろ彫刻刀にしろ指を切ったことは皆無ではありません。その代わりかなり軽度な傷で治まっています。
※まだ小さな頃にボンナイフで左人差し指を危うく切断しそうなほど深く切ったことはありますが

■ニッパー

ニッパーについては、パーツを切断したり、ボールジョイントの余分なシャフトやプラ棒などを切断したりと、かなり大まかな加工で重宝しています。ま
たぶん趣味でプラモデル組んでいる人なら大抵は持っていると思いますので、それで十分です。
そう言う意味では100円ショップのモノでも特に問題がない唯一(?)の刃物かも。愛用しているのはタミヤ製のニッパーです。

ちなみにこのニッパーは樹脂切断用なので、真鍮線などの金属を切断する場合は必ず金工用のニッパーを別途買っておきましょう。金属としては柔らかい部類の真鍮線でも、樹脂切断用ニッパーの薄い刃先を鈍らせるには充分過ぎる程度に硬いです。


■ピンバイス

パーツ同士を強固に接着させるための軸打ちや、スタンドに立たせるために足の裏に開口したり、ボールジョイントなどの差し込みを行う際にワリと頻繁に使用するのがピンバイスです。ガチャ改造などでは概ね1ミリφ〜3ミリφのビットを使用しますので、その範囲のビットが装着できるピンバイスで、しっかりしたモノであればとくにどこのものでも問題ありません。

ただしビットは木工用ではなく金工用を使用して下さい。木工用のビットはあまり精密作業には向きません。

ちなみに3ミリφ限定で言えば、画像のタミヤ製ミニ4ドリルが思いのほか安価で便利です。

■瞬間接着剤/瞬着硬化スプレー

フィギュア改造する上で、接着に関してはかなりの割合で瞬間接着剤がメインの接着剤になります。普通の瞬着とゼリー状瞬着の2種があれば、接着に関してはほぼ間に合うと思います。銘柄についても個人的には100円ショップの瞬着は好きではないのですが、特に拘ることなく、入手できる物を使用する、といった程度のスタンスで充分です。

瞬間接着剤については一応冷蔵庫などの暗く低温な場所で保管できることになっていますが、ナマモノと割り切って買ったらあまり日をおかずに使い切るようにしましょう。ちょっとでも「接着力が弱くなったな」と感じたら替え時です。

また使用頻度はそれほど高くありませんが、WAVE等から発売されている瞬着硬化スプレーなどの硬化剤はあると意外と便利です。ただし接着面が白濁し易く、且つ接着力は意外に低下しますので乱用しないように!

しかもこのスプレー、明らかに人体に良くないと本能的にわかる臭いがします。室内での使用は厳禁、子供や小動物の近くで使うのも止めておきましょう。

■マーカー類

主にメカ物のディティールアップ用に用いることが多いのですが、ガンダムマーカーのスミ入れ用はその名のとおりスミ入れに重宝します。3色とも揃えておくと、いろいろな場所へのスミ入れが出来ますので事前に揃えておくと良いでしょう。

またコピックなどのアルコール系マーカーも、透明な特性を生かしてタッチペイントに重宝します。画材店にいけば大抵取り扱っていると思いますし、コミケなどで金銭感覚が半ば麻痺した時に一気にセットで買っちゃうのも、後々便利かも知れません。後者はあまりお勧めできる入手方法ではありませんが。

■塗料剥離剤


後々塗料についても説明していこうと思いますが、その前に既製品の塗膜を剥がすのに使用するいわゆるリムーバー(塗膜剥離剤)についてご紹介します。

一般的にフィギュア改造などで使用されているリムーバーはイリサワのVカラーシンナーでしょう。かなり塗膜への剥離能力は高いようで、しかも樹脂も溶かすので、塗膜を剥がすだけではなく、表面処理にも使えるようです。ただし欠点としてはまだあまり出回っているマテリアルとは言えないので、都市部に住んでいる方以外はちょっと入手しづらいかも知れません。私自身はあまりメインではVカラーシンナーを剥離剤として使っていません。

では何を使って塗膜を剥いでいるのかというと、アトムハウスペイント製のその名も「塗料はくり剤」というヤツを愛用しています。これの前はアサヒペン製の同様のリムーバーを使っていましたが。

このリムーバーを教えてくれたのは某社で原型やっている後輩で、今のところこのリムーバーで、特に使用上不便を感じたことはありません。塗膜は簡単に剥がれるし、それほど下地の樹脂への浸食能力も強くはないようなので、表面処理用に使いにくい反面リム−バーとしては結構使いやすいです。それにホームセンターなどで扱っているのでVカラーシンナーよりは入手も容易です。

この塗料はがし剤ですが、それ以外にも使い易い特徴として、Vカラーシンナーや後述の瞬着はがし液とは異なり、ゲル状で且つ水で洗い流せるという利点があります。なので塗料を剥がす際も筆に付けて軽く擦るように剥がすことができ、剥がした後もティッシュなどで拭うか水で洗い流せるのでその点も便利。

ちなみに最も安価に、そして最も入手し易いのではないか?と思われるリムーバーがご存じの方も多いのではないかと思いますが、瞬着はがし液です。100円ショップなどでもいろいろな銘柄のモノが入手出来ますが、確かに塗膜も剥離出来るものの個人的にはちょっと剥離能力が物足りず、そのワリに樹脂に浸食し易いので、いつも使っている塗料はくり剤と比べると使いにくく感じました。

しかし入手のし易さではVカラーシンナーより大幅に優れ、塗料はがし剤と比較しても甲乙付けがたいマテリアルなので、覚えておいても損は無いと思います。


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