■Vカラーシンナーについての私見
※このコーナーは、まだVカラーシンナーを使ったことのない「これからフィギュア改造を始めようと考えている人」を対象としております。ご自分の判断において使用されている方には今更なコトしか書いてありませんので、その旨ご容赦の上、読み飛ばして下さい。



フィギュア改造する上で特にメカや怪獣/怪人系ではない、いわゆるギャルガチャ/PVC美少女フィギュア系の改造をする際は、他のケースとは若干異なり「既存の塗装を落とす」という工程が多々発生(まぁギャルガチャ系以外で塗装を落としちゃいけないってワケじゃありませんが)します。例えば瞳を描き直す為に元の瞳を消したり、肌色成形のモノについてはタイツやストッキングとして表現されている塗装を落としての足の生足化、そして魔改造全般。
そういう時に塗装剥離剤としてフィギュア改造系サイトや、その手の話題の挙がる掲示板系サイトなどでまず出てくるのがVカラーシンナーなんですが、このマテリアル、使いようによってはフィギュア改造やる上での重要なアイテムになり得ますけれど、便利な反面非常に気を付けなければならない薬品なので、今回はこのVカラーシンナーについての私見などをつらつらと書いてみたいと思います。
とりあえずフィギュア改造なんてしたことがない(しかも模型歴も浅かったりする)人が、ダブりなしの貴重な一体に改造施してみようなんていう、のっけから背水の陣しかれている場合は是非ご一読下さい。

Vカラーシンナーは株式会社イリサワから出ているソフトビニール用塗料「Vカラー」用の溶剤です。特性としては非常に溶解力が強く、市販のガチャポンや完成品フィギュアの塗膜など至極簡単に溶解し拭き取ってしまえます。同じ溶剤でありながら、一般的な模型用塗料であるクレオス(旧グンゼ)のMrカラーやタミヤのエナメルカラーのうすめ液と比較してもかなりヤバそうな臭気が漂ってます。Mrカラーのうすめ液なんかはワリと平気な私(それはそれで問題なのですが)でも、Vカラーシンナーを開けたときは明らかに本能レベル(?)で身構えてしまうくらいの強力なシンナーです。
つまりそれだけ注意して使用すべきモノと言えます。火気の近くや閉め切った部屋で使うなど言語道断、安全な場所で極力短時間の作業(作業を短時間で済ませる理由は、実はもう一つありますが、それについては後述)を、身体にVカラーシンナーが付着しないように気を付けて塗装剥がししましょう。そうすればVカラーシンナーは強力すぎるくらいの溶解力をあなたに提供します。

ところが
そう、ところがです。上記の注意を守ったとしても、まだVカラーシンナーには注意点があります。それが「強力すぎるくらいの溶解力」。
え?強力ならいいじゃないと思う人もいるかも知れませんが、この強力な溶解力は塗膜だけではなく改造しているフィギュア本体にも同様に影響を及ぼします。つまり強力すぎるおかげで本体も浸食しやすいということ。Vカラーシンナーで塗膜を落とす場合はあくまでも布やティッシュ、筆などに染みこませて拭き取るように使うべきで、間違っても漬け洗いなんてしてはいけません。そんなことしようものならVカラーシンナーに漬けたあなたの改造中フィギュアはディティールが溶け落ちた表面ドロドロの固まりになりかねません。これが先の臭気の問題とも重なって、Vカラーシンナーで塗膜を落とす場合に長時間作業しない方が良いもう一つの理由となります。
慣れないとガチャフィギュアのパーツ自体をダメにしかねないのも、Vカラーシンナーを使う場合の要注意点ということです。

そんなワケで、Vカラーシンナーを知る以前はもちろん、知ってからも私の場合は塗膜落としにはVカラーシンナーを使っていません。塗膜落としとしては若干溶解力で劣るかもしれませんが、水性で比較的フィギュア本体への侵食力も比較的弱く、ゲル状で使い勝手の良い「塗料剥がし剤」を使ってます。これならホームセンターにも置いてあるのでVカラーシンナーより入手が容易だし、揮発しにくいのはかなりのアドヴァンテージだと思います。この「塗膜剥がし剤」を専用におろした平筆を使ってガチャフィギュア表面に塗り付け、軽く筆で磨いてやることで割合簡単に塗膜を剥離させることが可能。後はティッシュなどで剥離した塗膜ごと剥がし剤を拭き取り、最後に流水で洗浄してやればOK。個人的にはサラサラの液体であるVカラーシンナーよりも使い勝手が良い気がしてます。ちなみにこの「塗膜剥がし剤」を教えてくれたのは、某社でガチャの原型製作やってた後輩。

じゃあ私はVカラーシンナーを全く使っていないのか?というと実はそうでもなく、私の場合にはVカラーシンナーの高い溶解力を表面処理の研磨用に利用しています。本来だったらペーパーがけとかするべきところなんですが、ガチャフィギュアの素材はメーカーによってはかなり軟質(バンダイのHGifあたりが顕著)で、毛羽立ったりする可能性もあるので、ティッシュにVカラーシンナーを染みこませて、ウェスの要領で磨き込んでやれば、カッターなどの切削後やパーティングラインなどが面白いように馴らされていきます。これはワリとお勧め。特に顔の輪郭修正なんかには重宝しますね。

とまぁ、こんな感じで非常に主観的なVカラーシンナーの紹介でしたが、少しでもご参考になりましたでしょうか?
本来フィギュア改造なんてものはそんなに身構えてやるようなものではなく、プラモデル組むように気軽にできるものなので、もしも当サイトをご覧になって興味を持たれたのなら、是非初めてみては如何でしょうか。

inserted by FC2 system